本橋成一、岡本太郎、宮本隆司、写真集を読む

2021年10月17日日曜日

写真 図書館

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▽近所の図書館が休館中なので、所沢市の本館に行って写真集を3冊ほど借りてきた。さすが本館だけあって蔵書数が多く、写真集も充実している。表に並んでいないだけで、調べたらレアな写真集も借りることができるかもしれない。いちいち買っていたら大変だし、昔の写真集は市場に出回っていないことが多いので非常に助かる。


借りてきたのは本橋成一の炭鉱という本で、最初に出版されたのは1968年だ。新版として現在も購入することが出来るのは幸いだけど、埋もれてしまった写真集は数知れない。それは知名度のある写真家であっても例外ではないし、非常に重要な写真集もあったはずだ。この炭鉱は作品として価値が認められているけれど、その理由がページをめくるたびに分かる。そもそも炭鉱そのものがもはや過去の遺産のようになっているし、どのような人が働き、暮らしていたのかは写真や映像で確認するしかない。見たい知りたいというのは個人的なノスタルジーなのだろうか。


2冊目は岡本太郎の東北。これも時代的には炭鉱と同じくらいで、テーマとしてはかなりざっくりしている。岡本太郎が何を写真で撮っていたのかという意味でも非常に興味を引くものになってしまうけれど、それを無視しても当時の東北の姿を垣間見ることが出来るのは貴重だ。梅原猛が指摘しているように、大和王朝が近畿や九州を中心に広がっていったと考えると、辺境である沖縄やアイヌに元々日本で暮らしていた縄文の名残を現在でも見て取れるし、1950年台から1960年台の東北にそれを見出した岡本太郎の慧眼がこの写真集から伝わってくる。悔やまれるのは岡本太郎が本腰を入れて写真を撮っていたら、もっと面白い作品を残しただろうということだ。まあ、それ以上に芸術作品は残したわけですが。


3冊目はこちら。上の2つがルポルタージュであったり記録に重きが置かれているとすれば、宮本隆司のいまだ見えざるところはコンセプチュアル、アートよりな雰囲気がある。九龍城砦やアジア、廃墟、建築、島など被写体が様々で面白い。展覧会の図録的な1冊なので、一つ一つの作品をじっくり見てみたい。

最近、あらためて写真の素晴らしさであったり有用性に気付き、見直した。そして私も写真を撮る人間として残せる形にしておかなければいけないと思うし、写真で社会にもっとコミットできないものかと思案している。

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