▽原子力発電を今後も利用していくべきなのか。十分な議論がされているとは思えないけれど、日本としては廃止するつもりはないらしい。現状では電源構成の原子力発電の比率は一桁台だけど、2030年には20%にするという計画なので、増設はしないまでも再稼働や延命を積極的にしていくのだろう。小規模な次世代の原子炉はあわよくば建設しようという腹積もりかもしれない。世論が原子力発電所の建設を後押しすればその可能性はある。
日本原子力文化財団はこのほど、全国1,200人(15~79歳男女)を対象に実施した2020年度の「原子力に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、今後の原子力利用に関して、「原子力発電を増やしていくべき」(増加) [&]
日本原子力文化財団の調査によると、原子力発電を徐々に廃止が48.0%、即時廃止が8.4%、維持が8.0%、増加が2.2%、という結果が発表された。さすがに福島第一原発事故を経験している我々が、何食わぬ顔でこれからも利用し続けることには抵抗感があるのだろう。ただ、今すぐに廃止にすると電力需給が逼迫する、もしくは火力発電では環境に悪いという現実を反映して徐々に廃止が圧倒的に多い結果になっている。
今年になってEUが原子力発電は環境面で持続可能な経済活動として投資を促す方針を表明した。とはいえドイツは脱原発を目指しているのでこれには反発していて、フランスは積極的に利用しているので、EUが発表したとはいえ一枚岩ではない。フランス国内でも原子力発電を好意的にみる人は6割という調査があるので、反発する人も少なくはないはずだ。
原子力利用に関して他の国の賛否を見てみると、アメリカだとほぼ半々の意見、イギリスは賛成が多いけれど、安全な電源かという問いには34%が賛成、30%が反対とわりと拮抗している。中国ではアンケート調査はされていないと思うけれど、原子力発電量は現在世界で2位だ。今後も増設していく方針なのかもしれない。台湾は政府としては脱原発に動いているようだけど国民投票などの結果などから世論は否定的なようだ。(日本エネルギー経済研究所の原子力の利用状況等に関する調査を参照)
日本で起きた福島第一原発は国内だけでなく世界に与えたインパクトも大きく、ドイツや台湾が脱原発に舵を切り、アメリカやフランスでも事故直後は反対意見が増えている。現在は気候変動に対する各国の目標設定もあり原子力発電の立ち位置はそれぞれ違い、また何か悲劇的な事故が起きれば方向転換する国が出てくるかもしれない。
気候変動、温暖化に危機感を持っている方限定で聞きたいのですが、原子力発電は今後どうすればいいと思ってますか?
— 内野知樹 (@tomoki_uchino) January 11, 2022
個人的に環境問題への関心、意識が高い人は原子力発電をどう思っているのか気になっていた。二酸化炭素の排出を考えて容認するのか、別の意味で環境汚染が深刻なので否定するのか。私のアカウントでのツイッターアンケートが正確かは分からないけれど、結果を待ちたい。