▽伊東に2泊して旅立ちの朝。私にとって今までの旅というのは、被写体を探し求めて黙々と歩き続け、ある意味苦行のようなものでした。今回の一番の目的は写真を撮ることではありません。町を歩いているときにはカメラは持ち歩かず、撮影はスマートフォンのみで気楽なものでした。スマートフォンで十分というのもありますが、それよりも美味しいコーヒーや食べ物、楽しいお酒、心惹かれる場所を求めていました。結果的に伊東にはそのほとんどがあって、もう狭山市には帰りたくないほどです。まあ、ベクトルの違う町のあり方なので、住むのとたまに訪問するのでは随分と感じ方は変わってくるでしょう。前から真鶴になら移住したいと公言していたのですが、伊東でも楽しく暮らせるような気はします。私としては自然があって農的な暮らしができれば他にはあまりいりません。
後ろ髪を引かれる思いで伊東の次に立ち寄ったのは真鶴。やはりこちら方面に来たら寄らない手はありません。
この町には狭山丘陵や武蔵野の平地林とは比べ物にならないダイナミックな自然があります。
それは手つかずの森、原生林のような佇まいで、印象的には屋久島や沖縄のやんばるや西表と比べても何の遜色もありません。厳密に言えば人の手入れがあるので森ではないですし、太古の昔からあるわけではないので原生林とも違います。お林という名称は言い得て妙でしょう。とにかく、信じられないくらいの幹の太さで天高くそびえる巨木郡にただただ圧倒されます。
さらに真鶴には海があります。お林と海が互いを補うように豊かな環境を築き上げ、それを当たり前のように守り続ける真鶴の人々にはリスペクトしかありません。
海を前にすると心が洗われるような気がします。
急ぐ旅でもないのですが、バスや電車の乗り継ぎを間違えるととんでもない時間のロスが発生してしまいます。ケープ真鶴のバス時刻表でいうと、1時間に1本で終バスは15時台。真鶴駅前でカレーを食べたかったので小一時間で引き返しました。ただ、お目当てのサマニカレーというお店は完売しており、カレーを食べたい気持ちが収まらないのですぐそばの本場ガチ系のカレー屋さんへ。これはこれで美味しいのですが、私はサマニカレーで食べたかったのです。また来年伺いましょう。いや、伊東にはもっと頻繁に通いたいくらい気に入ってしまいました。
小田原を散策してもよかったのですが早く帰って翌日からの生活に備えようと寄り道せずに入曽に戻りました。伊東一人旅、終わり。