▽先日の記事で五木寛之さんの著作を読んでいると書いた。新書なので小難しい話は書いてなくて、一般の人が質問を投げかけて五木さんが答えていくスタイルになっている。今までに五木さんの本をしっかり読んだ記憶はないのだけど、読み進めていくと共感することが多い。タイトルは「死の教科書」と恐ろしい内容に思えるけど、死というのは常に我々に付きまとうものだ。自分自身もいつかは死ぬし、親戚や友人など死に触れる機会は年を重ねていくごとに増えていく。この本についてはまだ読み進めている段階なので、またあらためて触れるかもしれないけど、死について改めて考えさせられる良書だと思う。
先日、脚本家の橋田壽賀子さんが亡くなられた。おしんや渡る世間は鬼ばかりなど非常に人気のあったシリーズを手掛け、世界中からその作品たちは愛されている。私はテレビを見るのをやめてしまったので、作品への思いはないのだけど、橋田さんは死に対する考えが独特だったのが忘れられない。
橋田さんで驚かされたのは安楽死を望んでいたことだ。残念ながらと言っていいのか分からないけれど、橋田さんの死因は安楽死ではなく急性リンパ腫。最後の最後で何を思ったのだろう。そればかりが頭をよぎる。詳しいことは分からないけれど、寝たきりになる、介護を受ける、施設に入る、ということはなく自宅で暮らし、静かに旅立たれた。もし何か状況が変わっていれば、より強く安楽死を望まれたのかもしれない。何はともあれ、長い間の第一線でのご活躍、ご苦労さまでした。安楽死、尊厳死の議論が進むことを私も望みます。