▽何度も書いてるけど、先日ベルセルクの作者である三浦建太朗さんが亡くなられた。続刊を心待ちに生きてきた人間としては、その喪失感は計り知れない。多くの同胞とこの現実を受け入れ、哀しみを共有したいと思う。すべての漫画を手放しつつ、唯一手元にあるのがベルセルクなのだけど、あらためて既刊である全40巻を読んでみた。一度すべてを売り払ってからブックオフを中心に中古で買い戻したので、あまりキレイな状態のものが少なく雑に保存していることが少し恥ずかしい。けど、参考書のように何度も、擦れきれるまで読むというスタイルなら三浦さんも文句も言わないでしょう。
繰り返し読んできてすべての場面を把握しているのだけど、毎回新鮮な気持ちで読めるのはやはりベルセルクの魅力だ。グリフィスやガッツの生き様や言葉にいろいろと考えさせられるのだけど、やはり41巻以降の物語がどう展開していくかが気になる。40巻が発売されたのは2018年の9月。もう3年近く経ってしまっているのだけど、もしかして収集がつかなくなってしまったのだろうか。もしくは他の作品に興味が移ってしまったのか。いくら三浦さんが素晴らしい漫画を書いてきたとはいえ、一人の人間として心変わりがあるのは仕方のないことだ。けれど、並々ならぬ思いでベルセルクを書き続けてきたことは、作品を読めば分かる。もしくは終わらせたくなかったという気持ちも分からなくもない。
マグミクス
この記事によると、三浦さんはベルセルクの結末はハッピーエンドだと語っていたそうだ。具体的に何かプロットのようなものを書き残していれば、信頼のおける漫画家やアシスタントが続きを書くことはできるかもしれない。とはいえ、作者が変わってしまうとどうしても違和感が出てしまうのは事実だ。ドラゴンボールや花の慶次などの関連作品は、元の作者がご存命とはいえどこか違和感がある。けれど、ベルセルクを事業としてとらえれば、伊能忠敬の「大日本沿海輿地全図」や徳川光圀の「大日本史」、ガウディの「サグラダファミリア」のように引き継いでもいいのかもしれない。
それにしても、三浦さんのいうハッピーエンドとはどのようなものなのだろう。多くの命が失われ、激変してしまった世界が元に戻るはずもない。グリフィスとガッツが和解し、鷹の団の面々とどこか幽界のような場所で邂逅し、彼らはすべてを赦し、受け入れていると伝える、とか。ガッツを主体にしたハッピーエンドならグリフィスを倒すことになるけれど、ベルセルクの中の住民にしてみるとグリフィスが救世主で平和の旗印なので、それがハッピーであるとは限らない。グリフィスに人としての寿命があるなら、グリフィスと王女の子とガッツとキャスカの子が手を取り国を支えるとか新たな冒険が始まるとか。それにリッケルトとエリカたち、ゴッドハンド、髑髏の騎士は何者だったのかなど回収しなければいけないことは山ほどある。妄想が尽きない。