▽アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退し、タリバンが政権を取り戻した。それは民主的なプロセスではなかったし、かつてのアフガニスタンでのタリバンの振る舞いを考えると憂慮せざるを得ない。声明ではかつてに比べてだいぶマイルドになっているとはいえ、生命の危機を感じている人は多いはずだ。注意しなければいけないのはアフガニスタンに暮らすすべての人の人権だろう。民主主義陣営からするとイスラムの当たり前は受け入れがたいものがある。そのイスラム内でも統一された思想でまとまっているわけではなく、スンニ派とシーア派の対立は耐えない。さらにスンニ派であるタリバンは同じスンニ派のイスラム国に裏切り者として敵対視されている。８月のカブール空港での自爆テロは記憶に新しい。それ以外にもテロは起きているし、今後も起きるだろう。せめて同じ宗教を信仰しているなら仲良くして欲しいと思うけれど、キリスト教だって一枚岩ではないし、日本における仏教も多くの宗派に分かれて対立がないわけではない。八百万の神を信仰するかつてのアニミズム的神道の精神が人々の対立や自然破壊を抑えるのではないかと梅原猛の本を読んでいてぼんやり思う。
アフガニスタンは遠く離れた国であるとはいえ、アメリカの侵攻は日本も支持していたことだし、関与もしたので他人事と切り捨てていいことではない。たまに届くAvaazからのメールはアフガニスタンでの女子教育の再開を求める署名のお願いだった。Avaazというのはグローバルオンラインコミュニティということで、いまいちピンとはこないけど、世界的な社会課題を署名や寄付を集めることで解決しようというグローバルな団体だ。署名を求めているのはノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身のマララさんや、中東で活動する女性たち。やはりアフガニスタンを取り戻したタリバンは人権抑圧、女性の学ぶ機会を奪ってしまったようだ。イスラムの教えのもとでは極端な蛮行ではないのかもしれないけれど、女性たちの学びたいという意思を踏みにじっていいものではない。署名は数時間で１０万、２０万と増え続けているので、世界中の人々はこの問題を重く受け止めていると感じる。はっきりいって署名を集めている彼女たちの生命は危うい。それでも声を上げようとする勇気を称えたいし、我々が署名して応援するのはたやすいことだ。出来ることは少ないけれど、ワンアクション起こすことを皆様にもお願いしたい。
