ファスト映画に思う

2021年10月29日金曜日

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▽10月26日の読売新聞社説でファスト映画の問題を取り上げていた。ファスト映画というのは映画を10分程度に短く編集して、内容をさくっと短時間で伝えるというもの。

インターネット上に流れる動画には、権利者に無断で映像を流用し、違法性が疑われるものが少なくない。安易な視聴は慎んでほしい。 映画を10分ほどの長さに勝手に編集した「ファスト映画」と呼ばれる動画がネット上に相次いで投稿さ

映画館に足を運んでもらったり、DVDを購入してもらうための販促として版元が編集してリリースしているものではなく、勝手に映像を使いYouTubeの再生数を増やして稼ごうとしている人間がいる。当然違法なコンテンツなので、そこまで見る人はいないんじゃないかと思うけど、儲かるからファスト映画は作られるのだろう。CODAというコンテンツ海外流通促進機構が6月に調べた所、55のアカウントがあり、動画数は2100、再生回数は4億7700万回だったらしい。かなりの数字で規模だ。社会的にも大きな問題になり、逮捕者も出始めている。違法コンテンツを見るだけなら罪には問われないのかもしれないけど、見る側にも責任がないわけではない。ネット上での誹謗中傷と同じで、確実に傷ついたり不利益を被る人がいるのだ。

それにしても、10分見ただけで1本の映画を見たつもりになれるということに、これほど多くの需要があることに理解が追いつかない。例えば2時間の映画があるとして、その2時間にはやはり意味があるし、その2時間を消費しなければ体感できない何かがある。これは小説でも漫画でも同じだ。私が撮る写真であっても、ウェブで見るのと、小さなプリントで見るのと、自分がこのサイズで見せたいものでは与える印象がまるで違う。絵画などのアート作品も直接見るのとカタログで見るのではまるで違うはずだ。車や自転車より歩いたり、時に立ち止まったほうがその場所を感じることはできる。様々なものやことに速さや簡便さが求められている昨今、のんびりとスローな生活をすることが地球環境や人生においても豊かさを得られるのではなかろうか。

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