▽今回の旅の目的地は真鶴の林と海。埼玉で暮らしていると、絶対に見ることのできない風景が真鶴にはある。海なら九十九里や湘南でもいいのだろうけど、林に関しては唯一無二といっていい。まあ、埼玉県でさえくまなく歩いているわけではないので、素晴らしい森林は他にもきっとある。比べるものでもないのだけど、飯能や秩父、奥多摩には真鶴のような巨木が立ち並ぶような場所はないように思う。そう、真鶴の林はまるで原生林のような巨木がいくつもそびえているのだ。
真鶴半島の突端にある林は「お林」と呼ばれていて、これは江戸時代に幕府の管理下にある山林を「御林」と呼ぶことに由来していると思われる。それに明治維新後に皇室御料林になっているので、それも影響しているのかもしれない。とにかく「お」とつけたくなるくらい尊い林なのだ。
原生林というのは人の手がまったく入っていない森林のことなので、厳密に言うと真鶴のお林は原生林ではない。江戸時代に御林として植林されたのが始まりで、それ以前は萱原、いわゆる草原のような場所だったそう。それほど長い歴史があるわけではないのに、まるで原生林という形容をしてしまうのは土地的に育ちやすく、大切に守られてきたからだと言える。
このお林までは真鶴の駅からバス路線もあるけれど、歩いても40分ほど。私は往復して、さらにお林を散策したので結構な運動量になった。起伏もある土地なので、体力に自信がない方はバスやタクシー移動がいいかもしれない。
お林を抜けた先にあるのは三ツ石。
写真では見えづらいけれど、2つの岩にしめ縄が渡されている。古くから信仰の対象だったのろう。非常に神秘的な光景だ。この象徴的な三ツ石が今回の旅の目的地。
真鶴に住むことが出来たら素晴らしいと思う。けれど、所沢の雑木林や畑も愛すべき対象なので、真鶴はたまに訪れるだけでもいいのかもしれない。それでも移住するなら真鶴だ。そのような日が来るかは分からないけれど、また必ず訪れたい。