大江正章「有機農業のチカラ コロナ時代を生きる知恵」を読む

2022年1月31日月曜日

読書感想文 農業

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▽私はここで書いているように、自分で野菜を作っているので、農業関連の本はどうしても気になってしまう。というわけで大江正章さんの「有機農業のチカラ コロナ時代を生きる知恵」を迷わず手に取り最後まで一気に読んだ。個人的なことを書くと、自分で農業を生業にする踏ん切りはついていないけど、塩見直紀さんの半農半Xという生き方を真に受ければこのままでもいい気がする。まあ、Xをどうすんねんという話なのだけど、模索しながら適当にやっていくしかない。半農半Xのことはこちらの本でも何度か出てきていた。


「有機農業のチカラ」の出版日は2020年の10月30日となっており、新型コロナウイルスにも触れられている。とはいえ副題が「コロナ時代を生きる知恵」とはなっているけど、新型コロナウイルスについて章が設けられているわけではない。けれど、農業、とりわけ有機農業が新型コロナウイルスが蔓延する社会においても最重要だという信念、確信が伝わってくる。東日本大震災にも触れられているけれど、新型コロナウイルスを経験した我々はどのような社会を新たに設計していくのか。

東日本大震災をきっかけに大きく生き方や考え方を変えた人は多い。自然環境や農業の大切さに気付いたということなら私もその1人だ。けれど、社会全体が大きく舵を切るようなことはなかったと感じている。なので新型コロナウイルスがまた1つのチャンスであると個人的には期待したい。自分たちで食物を生産していく社会に変わるべきだ。海外から大量の食料を輸入し続けることは相当なリスクになる。人や物の移動で感染症を運んでくるかもしれないし、それを防ぐために輸出入がストップするかもしれない。感染症の影響で生産が滞れば輸出どころではなくなる。自分たちで食料を生産し消費することが最大のリスクヘッジだと考えれば我々の選択肢は多くない。

有機農業である必要があるのか。私の畑でも農薬、化学肥料、除草剤などは使わないけれど、深く考えてそうしたわけではない。所沢周辺では雑木林と畑はセットで、落ち葉を堆肥にする農法がスタンダートだったし、邪魔な草は手で抜いたり、害虫にはコンパニオンプランツを考えたり、捕まえて握りつぶせばいいだけだ。雑木林と畑がセットなら自然も守られる。農薬や化学肥料が環境に与える影響は甚大だし、工場で作られるのだから負荷はさらに大きい。最近はSDGs(持続可能な開発目標)が取り沙汰されているけど、有機農業はぴったりだ。

農業の環境戦略 有機栽培で脱炭素の後押しを

「コロナ時代を生きる知恵」の中でも今までの有機農業の取り組みが紹介されているけど、世の中の空気も少しずつかわりつつある。この本を読んでいるとき、ちょうど読売新聞の社説が有機農業を取り上げていた。農協や国、自治体が現在の形の農業を推し進めてきたわけだけど、農業、とりわけ有機農業が最重要だと再認識してリードしてもらいたい。

大江正章さん死去 出版社コモンズ代表

この本が出版された直後、著者の大江正章さんは亡くなられていたようだ。これからの時代に必要な方なので非常に残念です。

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