田村典江「みんなでつくる「いただきます」」を読む

2022年3月15日火曜日

読書感想文

t f B! P L

▽人間は食べることなくして生きることはできない。ただ食べるだけではなく、何を食べるかで健康に生活できるかが決まるので非常に重要な習慣だ。それに世界人口は爆発的に増えているので、どのように作物や食肉を生産していくかは地球環境にも直結する。最近ようやく広く聞かれるようになったSDGs、サスティナブル、持続可能な開発を我々は進めていかなければならない。

スーパーマーケットに行けば世界中の食品が棚に並べられている。それは当たり前の光景だし、その一つ一つの商品の背景まで考えることはない。産地が地球の裏側の国なら長い時間をかけて日本まで運ばれてきたことになる。そしてその現地でどんな人がどう生産しているかを確かめる手段はほとんどない。単純に海外からやってくる食品は輸送に大きなエネルギーがかかっている。自然破壊をして生産された野菜かもしれないし、児童労働、搾取構造があるかもしれない。安く食品を買えることは有り難いことだけど、なぜ安いのかはしっかり考える必要がある。

しかも世界中から食品を集めている我々は、かなりの量を食べることなく捨ててしまう。貧困にあえぎ、飢餓に苦しむ人達がいるのに捨ててしまうなんてあってはならないことだ。何も考えず、ただ食べて消費しているだけでは持続可能な社会は実現しない。本に書かれているようにただの消費者ではなく声を上げる市民になることも重要なことだ。ただ、社会が変わるのは簡単なことではなく、資本主義的フードシステムとして変革を拒むように作られている。企業が利益を得るためだ。想像し、考え、知ることが大事だ。

具体的によりよい食とはどんなものか。この本ではヒントや具体的な名古屋や京都での実践例が書かれている。パーマカルチャーや半農半X、ダウンシフターズなどが紹介されていたり、脱成長、コモンズ、フードポリシーカウンシル、ウェルビーイング、レジリエンスなどの言葉が並ぶ。実践例として給食と地域が繋がる取り組みは非常に興味深かった。地域で採れる作物を給食で食べることで食や地域への理解は進むし、オーガニックであるなら何が良い食べ物かをより深く知ることができる。さらに自分たちで野菜を作ってみることも貴重な体験になるはずだ。

食べることを考え、変えていくことで世界はよりよい方向へ進んでいくかもしれない。

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