▽自民党の安全保障調査会が、国家安全保障戦略の改定への提言案をまとめました。自民党の中の一部会の提言案なので、そのまま全てを岸田首相、政府が受け入れるかは分かりませんし、野党からの反発はおそらく必至なので、実際に反映されるかは分かりません。とはいえ、新聞各社がすぐさま社説で取り上げたくらいなので、そうとうインパクトのある提言案であるようです。
「自民の安保提言 「反撃能力」は当たり前だ」産経新聞
「自民の「反撃能力」案 専守防衛と整合するのか」毎日新聞
「自民の安保提言 軍事大国化は許されぬ」東京新聞
「反撃能力提言 危うい本質は変わらず」朝日新聞
以上が4月23日の各新聞社の社説です。読売新聞はまだ触れていませんが、24日にも社説でしっかりと主張してくるのではないでしょうか。おそらくは産経新聞と同じように容認してくると思われます。産経新聞と読売新聞は一貫して軍事力の強化を主張してきました。はっきりいって私の考えとは相容れませんが、新聞を含めたマスメディアが完全に公平中立な立場であるべきだとは思いません。毎日新聞、東京新聞、朝日新聞は慎重な姿勢なので、バランスは取れているとも考えられます。ただ、どちらかの陣営だけの情報を入れすぎるのは、偏り続けてしまうので危険なような気もします。なるべく偏りなく、ひとまずは様々な情報源に触れてみるのがいいでしょう。というわけで、社説だけでも毎日チェックすることをオススメいたします。
マスコミのあり方、接し方を私のような者が諭しても何の意味もないのに長くなってしまいました。そんなことより考えたいのは軍事力の強化をすべきなのかということです。今回の安全保障調査会の提言は防衛費の増大と、敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えたことが大きなポイントのようです。現在の防衛費は大体GDPの1%ということなので、安全保障調査会の提言する2%では2倍になることになります。これは北大西洋条約機構、いわゆるNATO加盟国の水準を参考にしているようですが、もしも実現すれば防衛費は10兆円を超える規模になってきます。
日本のどこにそんなお金があるのでしょうか。日本はこれから経済的にどんどん苦しくなっていくのは目に見えています。それに超高齢化社会では社会保障費は増えていきますし、温暖化対策も本腰を入れなければいけない、インフラの老朽化も深刻になる状況では、削れる予算なんて見当たりません。それに批判するのは野党だけではなく、歴史的な軋轢を抱える中国や韓国も軍国化だと非難してくるでしょう。日本の軍事力強化が軍拡競争を招いたり、地域的な不安定化も否定できません。はっきりいって自民党の安全保障調査会の提言は何も良いことがないです。このような姿勢が次の参議院選の結果に反映されるのでしょうか。与党に好き勝手させないためにも野党にはしっかりと力をつけてもらいたいものです。