▽休みの日。特にやることのない日。用事といえば近所の公民館の図書館に本を返しに行くくらい。借りていたのは木下昌輝著「戦国十二刻終わりのとき」という短編歴史小説。前にも書きましたが、以前は様々な武将を主人公にした歴史小説を読み漁っていました。特に好きなのはマンガの原作にいくつも採用された隆慶一郎。戦国時代における核となる人物にスポットを当てていない作品が多いのが特徴でしょうか。独自の考察といいますか、特に影武者徳川家康の突飛な設定には胸が躍りました。
木下昌輝氏にも独自の解釈、発想が見て取れます。豊臣秀頼や山本勘助がどのような人物であったかは、多くの歴史ファンが思いを巡らせることではないでしょうか。豊臣秀頼は母親の淀殿の言いなりで暗愚な人物だったのか。本当の子供なのか。後世の、特に徳川側の情報操作で悪く言い伝えられているのは想像に難くないです。山本勘助にしても、その存在自体定かではありません。木下昌輝氏はこの二人に思いもよらない設定をしました。気になる方はぜひ読んでみてほしいです。それぞれの主人公はどれも魅力的な人物なので、長編で読みたくなってしまいますが、短編だからこその楽しさがあるのでしょう。木下昌輝氏の他の著作も読んでみたくなりました。