多摩川点描、生態系を考える

2021年1月10日日曜日

環境 生物多様性 武蔵野

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▽サケ、アユ、フナ、マスなどの魚を川に放流するというのは全国各地で行われている。野菜でいえば採種して種を蒔いて苗を育てて畑に定植するようなものなのだろう。ただ、適切でない魚を放流してしまうと、川の生態系を壊してしまう可能性があるので慎重にならなければいけない。細かいことをいえば、荒川水系と多摩川水系で同じ魚がいても少し違う。川を辿っていけば分かるけど、この2つの水系は交わることはなく、固有の進化を続けてきた。それは韓国人と日本人くらいの違いなのだろうけど、違うものは違う。なので多摩川の魚を荒川に放流してしまうと、固有の遺伝子は失われる。これは外来種による生態系の破壊とは違うけれど、失われることに違いはない。

「観賞用の改良メダカ、川で見つかる 自然種絶滅の恐れ 専門家「放流やめて」」

この記事のケースも、放流した人間にしてみたらメダカはメダカだからいいじゃないかと思っているかもしれない。水系の違う魚の放流でも問題視されるケースがあるのに、人為的に改良したメダカを放流するのは大いに問題がある。生態系の破壊に繋がってしまうかもしれないし、放流したメダカも野生では生きられなかったかもしれない。

「欧州最大級「再野生化」実験、森を手入れせず放任するとどうなる?」

破壊されてしまった生態系はどうすればいいのか。例えば住宅地を更地にして雑木林に戻す計画があったとして、常識的に考えると潜在自然植生を調べ、その土地にあった木々を植樹していくのが近道な気がする。記事で書かれているフランス南東端のグラン・バリーでの自然再生計画は少し違う。基本的にはほとんど何もしないそうだ。強力な外来種がはびこらなければ自然とあるべき姿になっていく。潜在自然植生というのはそういうものだけど、おそらくとても長い時間がかかる。気候変動対策での調査という意味もあるのだろうけど、人間の手の入らないありのままの自然のほうが植物も動物も暮らしやすいのは確かだ。日本においてもどのように自然と関わっていくのか考えなければいけない。里山として積極的に利用しつつ、生態系を維持していくのがいいと私は思う。フランスの例のように放っておくのも悪くはない。

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