問題は日本だけではない。当然なのだろうけど、現在核兵器を保有している国は推進も署名もしていないし、よく見れば推進しているのは東南アジア諸国や小さな国ばかりだ。このような状況では意思の確認はできるけれど実行力はほとんどない。今後どこまで広げられるかが平和な世界を築くうえで非常に重要になってくる。
核兵器禁止条約の発効 廃絶元年、新たな歩みを前へ
核兵器禁止条約と日本 被爆者の思い継ぐ関与を
核禁条約発効 理想に一歩近づいた
核兵器禁止条約が発効するとすぐさま社説にした新聞社は朝日、毎日、東京。政府には批判的で、リベラルな新聞社なので核兵器禁止条約の推進を歓迎し、日本の参加を促している。核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任する日本政府の態度は非常に曖昧だ。どちらの立場でもないと高らかに宣言するのは無責任だし、日本らしいとも言える。
とはいえ政府、日本が置かれている難しい立場も理解しないではない。北朝鮮や中国に接し、常に緊張状態にあるのが我が国だ。保有はせずともアメリカの核兵器の傘に守られているのが現実で、核兵器禁止条約を推進するということはアメリカを否定することになる。けれど、本当に我々は核兵器に守られているのだろうか。
米露の延長合意 中国なき核軍縮は疑問だ
米露核軍縮延長 新たな枠組み構築への一歩に
産経と読売は核兵器禁止条約には社説で触れなかった。なぜなら核の傘の効果を2社は信じ、中国を非常に恐れている。ようやく核兵器に触れた社説を読むと、アメリカとロシアが新戦略兵器削減条約の延長に合意したことも中国への抑止力が弱まると歓迎していない。確かに、中国は核兵器禁止条約も新戦略兵器削減条約にも加わっていないので好き勝手できる状態だ。経済大国になり、軍事大国にもなろうとしている。
解決策は1つしかない。中国もアメリカもロシアも、すべての核保有国に核兵器禁止条約を推進させることだ。日本政府も「橋渡し」などとぬるいことを言っていないで、まずは核兵器禁止条約を推進すればいい。広島と長崎を経験した我々でしか出来ないことがあるはずだ。