▽自宅には漫画がほとんどない。少年の頃からジャンプに始まり、マガジン、ヤングジャンプなど毎週買って新作の漫画に親しみ、お気に入りの作品は単行本まで集めていた。所蔵漫画は最盛期には千冊をゆうに越えていたと思う。ある日気付いたのです。めちゃくちゃ時間の無駄遣いをしているなと。ふいに何かの漫画を読み出すと、全巻揃っていればノンストップで読んでしまう。それに毎月毎月新しい漫画を買うのも金銭的な負担が大きい。テレビも見続けてしまうということから撤去していたのだけど、漫画も全て売り払ってしまった。10年以上前の話。
それでも買い直した漫画はこのブログで何度も触れているベルセルク。残念ながら作者の三浦建太郎さんが亡くなってしまわれたので、誰かが引き継ぐというサプライズがない限りもう新刊は出ない。三浦さんが亡くなって1年が経とうとしており、ようやく受け止めることが出来始めている。唯一購入していたベルセルクが発刊されないならもはや私は漫画を買うことはない。
そうでもなかった。実は部屋には日野日出志とつげ義春の漫画が数冊と、手塚治虫の火の鳥がある。このお三方の漫画を古本屋で見つけたら今後も買ってしまうかもしれない。そしてさらにもう一人の漫画家が加わってしまった。先日ブログにも書いた古本屋で買った水木しげるである。
当然水木しげるの存在は知っていたのだけど、漫画をしっかり読む機会はあまりなかった。漫画を読み漁っていた当時は最新刊を追いかけていたので、水木しげる作品は明らかに古臭く内容もどこか暗い。身近だったのはアニメのゲゲゲの鬼太郎くらいだろうか。けれど、前述のように日野日出志やつげ義春に趣味趣向が移った身からすると、水木しげるは魅力的すぎる。やはり暗いのは暗いのだけど、どこかユーモアとは違う絶望に追い込まない明るさといいますか、あっけらかんとしている部分が水木流だなと。それに人物は雑な描かれ方をしつつ、背景などはものすごく描き込まれている。これはいいですよ。