▽いつものように新聞各社の社説をとりあえず見てまわりますと、すべて同じ事柄を扱っていました。それも普段は2つの社説を1つにして中身を厚くしていますので、やはりその事柄の重要性が分かります。社説読み比べなどというのは、14紙を購読して読み比べを趣味にしている芸人のプチ鹿島さんに任せるとして、大雑把に言って左と右の陣営でそれぞれの言い分が変わってきます。
(日経)沖縄の重み再確認する復帰50年に
詳しい社説の内容は各タイトルをクリックして直接読んで下さい。タイトルだけでもなんとなく分かりますが、沖縄の基地問題をどのように捉え、どうしていくべきなのかを各社が主張しています。沖縄に米軍基地の7割が集中していると書いているのは読売、朝日、毎日、東京の4社。読売は沖縄の基地負担の軽減を求めているのかと思いきや、普天間飛行場の辺野古への移設を不毛な対立と書き、中国を念頭に沖縄に米軍が存在していることの意義を説いています。産経新聞と同じくいつもの政府寄りの姿勢は変わりません。
「米軍基地は日本の安全に役立っている」という回答が沖縄県民でも過半数に達した。
読売新聞はこう書いていますが本当でしょうか?朝日新聞の社説でも米軍基地の今後のあり方の世論調査の結果を載せています。
10年前は「いまのままでよい」が21%、「縮小」「全面的に撤去」が計72%だった。調査方法などが異なるため単純に比較できないが、今年は現状維持が41%とほぼ倍増し、縮小・撤去の計52%に迫る結果となった
と、ありますがこれは全国調査の結果です。沖縄に負担を負ってもらおうという人たちが増えているのは気になりますが、沖縄の人がどう思っているのかも朝日新聞は調査していました。
(沖縄タイムス)[復帰50年・時代の転換点で]「尊厳」と「希望」の政策を
この沖縄タイムスの社説によると沖縄の人は19%しか今のままでいいとは思っていません。調査をした朝日新聞がこの数字を出さなかった理由は分かりませんが、沖縄の人がどう思っているのかはとても大事なことです。読売新聞の調査も、中国の動きを考えれば米軍基地の重要性は理解できたとしても、沖縄に7割もあっていいかは別の話ではないでしょうか。
私が住む所沢にも米軍基地があり、今までに返還運動もあって半分以上は返還されていますが、約100haほど通信基地として残されています。近くの公民館には全面返還を求める看板が市民の願いとして掲示されていますが、沖縄にどれくらいの面積があるのか調べてみると1万8609haで所沢とは比べ物になりません。私が生まれる前の話で直接は知りませんが、所沢ほどの米軍基地であっても激しい返還運動が行われたようです。沖縄の人たちの負担というのはいかほどのものかは朝日新聞の調査が物語っているでしょう。
国民全体の総意を笠に着て、少数の意見を無視していいとは思えません。これは沖縄の米軍基地の問題だけでなく様々なことに言えます。真の意味で岸田首相が聞く力を持っているなら、沖縄の人の声に耳を傾けてほしいものです。