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2022年1月4日火曜日

安井仲治の小さな写真集が出てきたので語る

▽本棚を整理していると安井仲治の作品を掲載した小さな写真集が出てきた。ブックオフなどの古本屋で写真集を買い集めていた時期がある。本来はもっと高値がつけられてもおかしくないような本が安価に買えるのがブックオフの特徴の1つ。マニュアル、データ化してスピーディーな作業をするために必要なことなのだろう。貴重本コーナーも設けている店舗もあったので、今では本の持つ本来の価値に気付いているのかもしれない。安井仲治のこの写真集はそこまでプレミア価格がついているわけではないのだけど、数百円だったと思う。アマゾンで検索してみると千円と少しくらいで販売されている。


アマゾンと楽天で安井仲治の本を検索しても新品の本は売られていない。楽天ブックスの場合はかろうじてこの安井仲治写真集が登録だけはされていた。再販されることはあるのだろうか。新しい写真集が作られることはあるのか。写真業界の中ではトップ級の存在ではないので、何かの展覧会の企画を待つ必要があるかもしれない。近年でも兵庫県立近代美術館、ワタリウム、松濤美術館、名古屋市美術館などで開催されている。この写真集は松濤美術館が編集をしているので、展覧会の流れで製作された写真集だろう。


本棚にあったのはA5サイズくらいで、103ページの小さな写真集。正直これで安井仲治の写真の本質が分かるものではない。あまりにも写真サイズが小さいし、テカテカとしている。ビンテージプリントはきっと重厚な質感とインパクトを持っているものだと思う。そうでなければ彼が生まれて100年以上経った今の時代に名前は残っていない






その写真集をデジタルカメラで再撮してブログにアップして何かが伝わるわけでもない。けれど戦前の写真であるにも変わらず、非常にクールでまったく色あせていない作品であることが少しは伝わるのではなかろうか。時代的なものでピクトリアリズムといわれる芸術写真のような作品、コラージュ、アレブレ、スナップ、ポートレート、静物、ドキュメントなど非常に幅広い。安井仲治は1942年に38歳で亡くなっている。主に関西でアマチュアでの活動だったようだけど、土門拳や森山大道など安井を評価する写真家は多く、後の世に与えた影響も少なからずあるはずだ。写真展、どこかの美術館やギャラリーで開いてくれないものかしら。